文豪・川端康成の代表作「伊豆の踊子」
あてのない旅をする学生と伊豆で出会った踊り子の
身分違いの恋を描いた文芸ロマンス作品です。
惹かれ合う二人に待ち受ける別れ…
切ない恋物語に胸を打たれる素晴らしい作品です。
素晴らしい作品ゆえ、色々な監督やキャストさんが演じられ
その作品数は6作にもおよびます。今回はその6作の中から
特に評価の高い「吉永小百合版」と「山口百恵版」について
ご紹介していきたいと思います。
目次
映画・伊豆の踊子(1963年) 吉永小百合・高橋英樹版について
今もなお第一線で活躍し続ける大俳優の二人
吉永小百合さん・高橋英樹さんのお二人が伊豆の踊り子で
共演されていました。今から約50年前、
みずみずしいふたりの姿が物語とマッチしていたことでしょう。
監督は西河克己監督です。このお二人とこの監督が描き出す
「伊豆の踊子」は「エリート学生」と「踊子」の身分の違いを
よりシャープに、はっきりと描かれているのが特徴だといいます。
時代の変化を意識した情景描写は主人公である川崎と
ヒロインの薫の身分差、その身分差からなる別れの描写を描き、
時代の変化を感じさせる最後のシーンで、身分違いの恋は
「終わった」のだと淡く切ない終わり方で幕を閉じるのです。
現代では考えられないような恋の仕方ですが、
当時を生きた、または当時の恋愛作品に触れた方々は
その淡く切ない恋の描写に切なくなる方も
多いのではないのでしょうか?
とくに、吉永小百合の儚い容姿と演技に
心打たれる方も多かったのではないのでしょうか…。
今でこそ、年齢性別関係なく自分の「パートナー」を
選べる時代ですが、当時は若くお金もないそんな時に
家柄はもちろんのこと、かけおちや嫁ぐことなど
考えられないようなものだったのでしょう。
日本版ロミオとジュリエットのような悲恋…
ゆえに、綺麗なまま終わるのがこの作品の魅力でもありますね。
昭和の伝説のアイドル、山口百恵も映画・伊豆の踊子(1974年)に出演。共演は現在の夫・三浦友和さん!
伊豆の踊子はこの主演!という中に挙げられるのは
前述した吉永小百合・高橋英樹さんと昭和期伝説のアイドル、
山口百恵さんと現在の夫・三浦友和さんの主演作です。
吉永小百合さん・高橋英樹さんの伊豆の踊子から約10年後、
おなじ西河克己監督の手によって伊豆の踊子が描かれます。
踊子である「薫」の人物像はみずみずしく、
少女の弾けた部分のある年相応の女の子、
というようなものですが、当時の山口百恵は15歳でありながら、
少しそこに影のあるような、どことなくミステリアスでありながら
それでもみずみずしさを残したような山口百恵自身が
演じる「薫」を演じていたとあります。
川崎役を演じた三浦友和はその当時の役柄そのまま、
好青年である川崎を快活に演じ、こちらもはつらつとした
イメージをそのままに見事に演じられたようです。
そしてこのお二人の「伊豆の踊子」はストーリーにも
手が加えられており、前述のお二人が演じた時に描写されていた
「身分違いの恋」「淡く切ない恋」と言うような
余韻の残るものではなく、もっと切れ味の良い
「恋とは突然終わるもの」「違いはどうしようもない」
といったようなあっさりバッサリ終わるような
ストーリーになっています。
同じ監督でもかなり違いが出るのが面白いところで、
なぜこのストーリーにしたのか?というところには
非常に賛否両論あったみたいなのですが、
結果的には山口百恵・三浦友和のお二人に合わせて
ストーリーをうまく肉付けしていった、ということでした。
それにしてもこのキャスト、個人的にはものすごく
現実感があると言うか…本当にこんな恋、あるんだろうな〜
と思わせてしまうような感じにさせられますよね。
伊豆の踊子はキャストさんによって様々に楽しめる!オススメは吉永小百合・高橋英樹版と、山口百恵・三浦友和版です。
いかがだったでしょうか?同じ監督でも、キャストが違えば
そのキャストに沿ってストーリーを柔軟に変えていく
そんな発想があり、よりキャストさんや物語が輝くのでしょうね。
名作・伊豆の踊子は今もなお楽しまれる映画です。
すこし若い時に戻りたい、切なく淡い恋にときめきたい方、
ぜひキャストさんの素晴らしい演技とともに
伊豆の踊子の世界へと浸ってみてください。